近況その他あれこれ - 105
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那和秀峻君の新著『写真家と名機たち』

shashinka  報道や広告の歴史に名を残す内外の写真家60人と彼らが愛用したカメラを紹介しています。と言ってしまえばカタログのように聞こえますが、、実際に手にとってページを繰ってみると全体が非常に面白い読みものになっています。写真を媒介として、被写体として撮られた人々、撮った人、その時に使われた道具であるカメラをめぐるエピソードが生き生きと描写されています。著者は「資料集めにかかった費用が原稿料より高くついた」と言ってますが、丹念に調べられた事実をもとに、歴史が記録された瞬間や表現芸術が生みだされたプロセスが平易な文章で記述されています。

 19世紀末、主にポートレート写真が人々にもたらされましたが、職業としての写真家が成立して以来、歴史の記録として、エンターテイメントとして、また報道という分野に写真は大きな意味をもつようになります。20世紀に入り、カメラはメカニズムとして徐々に進歩を遂げていきます。記録媒体としてのフィルム(感度、形体)、レンズ(解像度、明るさ、焦点距離)、そして本体(ポータビリティー、シャッタースピード、操作性など)の機能が向上し、さらに広告などに用途が広がっていきます。それはカメラを道具とする表現者たち、プロはもちろん、アマチュアのカメラ愛好家たちの想像力と創造性を無限に広げることになりました。メーカーもドイツのライツ社をはじめとするヨーロッパ勢に対し、日本光学(ニコン)、キャノン、旭光学(ペンタックス)など日本のメーカーが次々に高性能製品を送り出していきます。このあたりの事情は那和君が『名機を訪ねて―戦後国産カメラ秘話』で詳しく書いています。ホームページでも紹介していますので、ぜひご覧ください→近況51

 さて、この本で取り上げられている写真家は、日本人が24人、海外各国から36人。戦争写真の頂点と言われるロバート・キャパをはじめ、人間の肉体を芸術として昇華させ、新しい表現分野をひらいたヘルムート・ニュートン、坂口安吾や太宰治など作家のポートレートで知られる林忠彦、ニコンが世界中の報道カメラマンに評価されるきっかけを作った三木淳など、全てが彼あるいは彼女のみが持ちうる独自のスタイルで、その愛機とともに仕事をしていったプロたちです。多くの写真家の作品が芸術として評価され、各地の美術館で個展が催されるだけでなく、パーマネント・コレクションに収められています。本文から面白いところを抜粋しようとすると、私(笠松)にはきりがないほど多いので、この辺でやめますが、一度は手にとって見てほしい一冊です。写真とは何か、認識が変わるはずです。8月末の発売なので、大きな書店にはあるでしょう。

 那和j秀峻著 山上正一画
 191ページ 18.5cm x 25.8cm
 彩流社
 定価(本体2500円+税)

2013.9.2.



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上智大学外国語学部英語学科 昭和39年入学43年卒業組ホームページ
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